福山市指定重要文化財

木造阿弥陀如来(あみだにょらい)立像(本堂)

鎌倉時代・14世紀作 像高78㎝

 本堂の脇陣に安置されています。

 両手それぞれ第一指と二指を捻じる来迎印(らいごういん)を表し、蓮華座の上に立っています。頭髪は巻き貝(渦巻き)状の螺髪(らほつ)とし、智慧(ちえ)の光を象徴する肉髻珠(にっけいしゅ)を表しています。眼は玉眼(ぎょくがん)(瞳を彩色した角膜状の水晶を顔面の内側から嵌(は)める)で半眼開きとし、口元を小さく結んで森厳な面相をしています。額には水晶の白毫(びゃくごう)を嵌(は)め、首には三道(さんどう)を表しています。着衣は衲衣(のうえ)・覆肩衣(ふくけんえ)・裙(くん)を着けています。

 頭体幹部は前後二材矧(は)ぎ、割首(わりくび)とする、一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)です。

 衣の皺(しわ)(襞(ひだ))を流麗で写実的な表現とし、端整な姿に仕上げた巧みな彫技など、鎌倉時代の特色をよく示しています。同じく本堂の脇陣に安置されている阿弥陀如来像とほぼ同時期(14世紀)の優れた仏像です。

 

徳島文理大学文学部 濱田 宣教授執筆

 

写真撮影:明王院を愛する会

非公開(不定期で第三土曜日に特別公開時外陣より見学可)