福山市指定重要文化財

木造阿弥陀如来(あみだにょらい)立像(本堂)

鎌倉時代・14世紀作 像高183㎝

 本堂の脇陣に安置されています。

 両手それぞれ第一指と二指を捻じる来迎印(らいごういん)を表し、蓮華座の上に立っています。頭髪は切り込み式の螺髪(らほつ)とし、智慧(ちえ)の光を象徴する肉髻珠(にっけいしゅ)を表しています。眼は彫眼(ちょうがん)(彫刻して彩色を施す)で半眼開きとし、厚めの唇を緩く結び、慈悲深く豊満な面相をしています。額には水晶の白毫(びゃくごう)を嵌(は)め、首には三道(さんどう)を表しています。着衣は衲衣(のうえ)・覆肩衣(ふくけんえ)・裙(くん)を着けています。

 頭体幹部は前後及び正中(せいちゅう)四材矧(は)ぎとする、寄木造(よせぎづくり)です。

 肉身に施された漆箔(しっぱく)(木地に漆を塗って金箔を貼る)は後世に補修されたもので、当初の像容とは少し異なって見えますが、鎌倉彫刻風の風格のある姿を彷彿させています。広島県内でも有数の等身大を超える彫像として、また鎌倉時代末期(14世紀)の稀少な遺例として貴重な仏像です。

 なお、本像は、かつて本堂に隣接して建てられていた阿弥陀堂に本尊として安置されていた可能性があります。

 

徳島文理大学文学部 濱田 宣教授執筆

 

写真撮影:明王院を愛する会

非公開(不定期で第三土曜日に特別公開時外陣より見学可)