福山市指定重要文化財

木造不動明王(ふどうみょうおう)立像(本堂)

平安時代・12世紀作 像高94㎝

 本堂の脇陣に安置されています。

 左手に羂索(けんさく)、右手に剣を持ち、左脚をわずかに前へ踏み出し、岩座の上に立っています。頭髪は巻髪(けんぱつ)とし、頭頂には八束の莎髻(しゃけい)(花弁状に髪を結う)を表しています。眼は彫眼(ちょうがん)(彫刻して彩色を施す)で見開き(左眼はやや掠(かす)めるか?)、口は強く噛み締めて左右の牙(きば)を上下交互に出しています。着衣は条帛(じょうはく)・裙(くん)・腰布、装身具は臂釧(ひせん)・腕釧(わんせん)・足釧(そくせん)を着けています。

 頭体幹部は前後二材矧(は)ぎ、割首(わりくび)とする、一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)です。条帛には、銀截金(ぎんきりかね)を用いた唐草文様の痕跡が見られます。

 目鼻立ちを中央に寄せた、やや柔らかみのある忿怒相(ふんぬそう)や、腰回りを大きく腰高に表し動きも控えめでゆったりとした姿勢、さらに浅い彫り口などは平安時代・12世紀の作風を示しています。

 寺伝では、明王院裏山中腹にある愛宕神社の本尊であったとされています。

 

徳島文理大学文学部 濱田 宣教授執筆

 

写真撮影:明王院を愛する会

非公開(不定期で第三土曜日に特別公開時外陣より見学可)